2.08.2020

予備審明けてからの怒涛

豆をひたすら煮る作業が始まった。2ヶ月間これだ。前日夜に水につけに行くためだけに往復一時間もかかる。雪でバスが遅れたので煮熟も遅れる無念。過去の研究と比較するため同じ条件でやらないといけないため、12時間吸水(夜8時から朝8時)。なぜ12時間にしたんだ…! これが企業だったら残業が発生しないよう16時間吸水(午後5時から朝9時)にしたはずだ! 実際十勝農業試験場では16時間吸水だった。

煮熟(しゃじゅく)時間は豆の特性上重要で、この研究が煮えやすい豆の開発につながるんだ!と、はいうものの、ひたすら豆を煮て、時間を記録して、水換えて、次の豆…というロボット作業。今週一日中立ちっぱなしばかりなので足が棒だ。

このロボット作業、誰でもできるため、博士課程で修得しました!とアピールできるものでは到底なく…。自己PRとかスキルとか考えて書いてみたけどそんなにない…!!と愕然。どうしよう… 思えば温室作業、圃場作業、豆サンプル準備作業と、誰でもできる(けど人手が足りないので院生がやるしかない)作業しかしてきてない。:゚(;´∩`;)゚:。 何をしたいかというのがわからないので、何が身につけたら役に立つスキルなのかがわからない…!と途方に暮れている。でも外国特許事務は興味がある。ラボで手を動かすのも楽しいけど、服装自由、パソコンで全てが終わる、そしてやればやっただけ文書として出来上がるのも魅力的だ(実験はやってもやってもうまく行かない呪いが定期的にや降りかかる)。

ゲノミクス的な、データサイエンス関連は初歩ながらできる。しかし、玄人はほんとにレベルが高いので、プログラマーとかデータサイエンティストになれるほどの能力かというとそうではないだろう。何に関しても多少知っている、中途半端な立ち位置だ。異分野とのシナジーが生きる道なのか…

あと一年で、自分に何が必要なのかを考えねば、そして見つけねばならない。必要なら役に立つ授業を受けることも考えねばなるまい。育種家にならない以上、育種ではない何かが求められる。単純作業に多大なる時間を取られていてそんなことまで思い至らなかったな…と今更ながら気づく。

しかも煮熟している横で粉砕機が甲高い音を出して豆粉を生産しているのでうるさいことこの上ない。耳をガードするイヤーマフをしていてもだ。もちろん、粉砕機を動かしている本人が一番しんどいわけだが…。豆粉は厳しい。粉砕は煮熟以上に単純作業。粉砕、掃除、粉砕、掃除…。それをポスドク(博士号保持者)がやっているのだからやはり研究に単純作業は付きものだ。でも単純作業とはいえ、掃除にコツがあったり、番号を間違えないようチェックポイントがあったりと、完全に何も考えなくて良いわけではないのだが…。

博士課程修了者で、企業が求める人材は、特殊な一部分のテーマ(例えば、じゃがいもという作物のゲノム編集という技術)ではなく、どんな作物やどんな形質にも応用できる考え方と実験を組み立てて遂行する能力だと聞いた。だとすれば、何を研究テーマにするかはそんなに重要ではなく、それに「どう」アプローチするかだ。思えば予備審でも同じようなことを聞かれた。どうやって解決しますか?どうやって授業で学んだことを現実世界の問題解決に利用しますか?例をたくさん見たり聞いたり、自分で常に考えとかないとな。

来週は企業の方々のパネルディスカッションがある。楽しみだー

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