Thoughts and notes of a researcher in plant genetics and nutritional epidemiology in Japan and the U.S. with a wide range of interests - choral activities, photography, nature, travel, and drawing. L'épanouissement personnel means personal development and fulfillment. Still in the middle of it, enjoying the process. 農学部、酒類企業研究員を経て、米国ミシガン州立大学で博士過程を卒業後、植物遺伝学と食物疫学の研究に片足ずつつっこんでいます。趣味の合唱、自然観察、旅行、写真、絵描き、国際交流など、いろんな記録です。L'épanouissement personnelは自己研鑽、実現というような意味です。生涯に渡って一緒に旅する人生のテーマ。
3.22.2010
Car
British pub
3.21.2010
食料自給率
まず考慮すべきなのが、カロリーベースの食料自給率にどの程度意味があるのか、それは本当に低いのかということである。カロリーベースの自給率は、国内生産カロリー/国内消費カロリーX100で表されている。国内消費カロリーは、国内供給カロリー、輸入供給カロリー、廃棄食品カロリーの総和であり、摂取カロリーではない。つまり廃棄カロリーを減少させれば自給率は向上する。
また、食物のカロリーは一様でない。野菜や果実に比べ、穀物や畜産物、油脂類のカロリーが高いため、カロリーベースの自給率はこれらカロリーの高い食品の影響を強く受ける。そのため生産高ベースの食糧自給率も算出されており、日本は70%である。
問題なのは、農業者の高齢化と、食と農の乖離、そして大量の食品廃棄であると考える。農業者のうち60%以上が65歳以上であるという。農家の所得が低いことが若者離れの原因となっており、過疎化と表裏一体をなしている。農業者の所得は時給に直すとわずか231円である。しかし、民主党の掲げるような赤字補填政策では、生産を増やそうと努力する農家の気力をそぐことになるだろう。日本には赤字農家があふれ、生産回復とはまったく逆の結果に終わるかもしれない。
農家の厳しい状況を、都会に住む消費者が意識する機会がほとんどないのも、安価な輸入食品が好まれる一因であろうと考えられる。食の外部化、サービス化によって均一、安価、大量の食材が求められるようになり、輸入品が国産品に取って代わるようになった。それは、安い物を求める消費者に原因がある。安い物を求める消費者は、日本の農業者の苦労を省みることはない。食べ物とはコンビニエンスストアやレストランでいつでも手に入るものであり、それが土の上で手間をかけて生産されているとか、生きた動物であったことなどが意識に上ることはめったにない。
一方で、農産物直売所の数がコンビニエンスストア最大手の店舗数を上回ったとの記事もあった。輸送コストが抑えられることから、安い輸入品とも競合できる価格で農産物を販売しているという。消費者と生産者の距離がきわめて近いため、国産の食材を選ぶことの意義を消費者にわかってもらえるのではないだろうか。
食物は年間900万トンが廃棄されており、これは国内の穀物総生産量とほぼ等しい。このような事実は看過してよいものではなく、自給率を論ずるならば第一に改善すべきである。世界の飢餓人口は9億人といわれるいっぽうで、世界で生産される食料の合計は地球の総人口をゆうに養えるものであるといわれている。つまり分配の問題なのである。そして、輸入量と廃棄量の数値は、日本が食糧を必要以上に集めている国だということを示唆している。宴会や宿泊施設などで大量に残されている食事を減少させる努力もおこなわなければならない。それに対しても、消費者に期待される役割は大きい。食事は豪勢であまるほどなのが良いという考えを改め、適切な量を提供する施設を選んで利用することによって、それを支持することができる。食料自給率を問題として提起するのならば、その改善は、農業者だけの課題ではなく、農産物を消費する側の人々も関わらなければならないということを消費者に啓発していくのも、政府の役割である。
3.17.2010
Seafood dinner2
The dessert, French toast was excellent. Since we ate French toast in a different restaurant and liked it so much, it is a must-have for us. And they never ran counter to our expectation. The thick slice of bread absorbed the eggs much, which made it soft and juicy. Making French toast is not that difficult so I'll try cook one by myself probably on weekend...
Thank you very tsuruno san for being a organizer, navigator and the sponsor!!
Seafood dinner!
All the sashimi were so nice as well. Tuna and sea bream tasted best! Actually many of them were ranked as No.1!!
3.13.2010
Graduation thesis
書を読むと書いて読書
「風に舞い上がるビニールシート」/森絵都
「八甲田山死の彷徨」/新田次郎
かつて日本は侵略戦争へと突き進み、国内外において多大な犠牲者を出した。しかし現在の日本に暮らしていると、過去に悲惨な戦争が起き、八甲田山遭難事件のような人間実験も行われたと知っても、現実味はわかない。現在とは状況がかなり異なる「八甲田山遭難事件」から得られる教訓があるとすれば、それは組織と個人に関することである。
「八甲田山遭難事件」が起こった当初、軍部首脳陣は、日本軍に不十分な装備しかないにも関わらず、ロシアとの戦争を前に浮き足立っていた。元寇以来受け継がれた、何かあれば神風が吹くという思想が健在であった。そして国民も、第二次世界大戦中ほどではないにせよ、一丸となって戦争に協力することを迫られた。国民を納得させ戦争へ動員するために、軍部ではより極端な思想がはびこっていた。民衆の反乱が起これば、鎮圧するのは軍隊である。民衆の主張が正しいと兵に認識させてはいけない。軍隊は、より強固で極端な教育によって兵員を洗脳する必要があった。このような状況こそが、八甲田山での雪中行軍という無謀な計画が立案され、全滅に近い犠牲者を出した背景である。
日本軍はひとつの組織であり、将校から士卒まで一人ひとりがその構成員である。階級によって厳然とした権力の差があり、待遇の差があり、そしてそれは当事者にとって当たり前であった。少なくとも、当たり前と感じるように教育されていた。現在の感覚からすると理不尽であると感じられるようなことも少なくない。また日本軍を第三者の視点から監視するような機構は存在しなかったため、組織が閉鎖的になっていた。このような状況下で、日本軍部内にいると、何が普通で何がそうでないのか、感覚が鈍ってくるのはむしろ当然である。普段当たり前のように不正が行われており、それを指摘する人間がいなくなった、という報道は枚挙に暇がない。雪中行軍が無謀だと考える者は確かにいた。しかし、上層部が決行すると決めれば、それはもう決定事項になってしまう。五番隊の雪中行軍に関しても、行程の初めは順調に進み、徐々に遭難の様相を呈してきたというから、引き返すことはできたはずである。事実、退却を進言した者もいたが、それを退けたのが上層部である。彼らは兵卒に比して充実した防寒装備を有しており、兵卒の置かれた苛酷な状況を勘案しなかった。そして、過信とプライドによって間違った決断を下してしまった。冬山という特殊な状況下で、過度の疲労により通常の精神状態でなかったことも大きい。理性を失って下した判断は、のちのち失敗しやすい。論理的な根拠に乏しいからである。よい上司は、決断に際しその理由を説明できなければならない。感情に基づいた決定をすべきではない。組織の長として、全員の運命を背負うという責任がある。しかし不幸なことは、進退窮まった状況においては、理性を失ったと自分で知るすべがないことである。どうすべきかを普段は知っていても、いざその局面になったときその理想的な判断がくだせないということは日常生活でもよく経験する。何が正しかったのか、のちのちにならないとわからないことも多い。しかし、このような教訓を各個人が心にとどめておくことこそが、組織が閉鎖的になり誤った方向へ進んでしまうのを防ぐ手段となる。その当時に生きていると、時代の趨勢を客観的に見られない。しかし、そのことを知っていれば、少なくとも客観的に見ようとすることはできる。構成員一人ひとりのそのような姿勢が、健全な組織をつくるための鍵である。
悲しいことには、八甲田山での生存者も、わずか二年後の日露戦争で凍死者と同じ場所へ旅立った。この事実が戦争に伴う深い悲しみとやるせなさを物語っている。
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感想文を書く機会があったので…。読んだことある方いるかしら。