12.16.2023

「ゲイだけど質問ある?」 / 鈴掛真

鈴掛さん、ゲイと公表している短歌の歌人。

「同性への告白は、命以外を全て捨てる覚悟でしなければならない。ばらされて、社会的に居場所がなくなるかもしれない。その覚悟で。でも、本当にそうなったら、友人も、仕事も、全部捨てれば良い。生きていればなんとかなる」

「もし告白したくても、相手が心からの親友だと思えるくらいになるまで待ったほうが良い。」

「一方が好きになって、もう一方にその気がないとなると、そのままの友人関係でい続けることはできない。それは誰のせいでもない。恋とはそういうものです。でも、あなたが、相手が同性愛者であることをばらしたりしない、ということは、約束してあげてほしい。それを本人に伝えてほしい。そして、またその友達サークルに戻ってこようとその人が思う日まで、待ってあげてほしい。」

「同性でも、異性でも、人間同士、愛するということ。」

「杉田水脈議員の生産性発言は、LGBTを理解していないというよりは、人間を生産性という物差しで測っていることが問題。高齢者には生産性がない、とか、寝たきりの人には生産性がない、という議論と同じ。LGBTだって働いて税金を払っているぞ!という反論は、生産性という物差しを使っているという点では同じ。本当にそれでいいの?」

「僕は、XX県の出身で、芸大を卒業して、広告代理店勤務を経験しつつ作家になった。趣味はピアノ、ランニング、料理。好きなアイドルはハロープロジェクトのアイドルと俳優のXXさん。そして、僕は同性が好き。こんな風に、ゲイであるということは、僕という人間のほんの一部。ランニングのおすすめのコースや、良い料理のレシピを共有したいのに、ゲイだからといって拒否されると、他のすべての点までも拒絶されてしまう。」

「同性を好きになる可能性もある、ということを、みんなが理解して、それが当たり前の可能性として考えられる社会ができるように。」

初恋のひと。同じ中学で、仲良くなり、親友と呼べるまでになる。一緒の高校に行き、彼は野球部のエースだった。しかし、なんらかの理由で、鈴掛さんに一言の相談もなく、彼は野球部をやめてしまう。だから、鈴掛さんは、彼にどういう言葉をかけていいのかわからなかった。半分、「何で言ってくれなかったんだよ。一番仲いいと思っていたのに。」と、もやもやした思いも渦巻く。結局それがきっかけで疎遠になってしまう。思春期の苦い思い出。

そして大学生時代。留学先の寮で同室になり、一番の友人になり、好きになった、John。留学最後の夜、みんなでお別れパーティーをして、その後、二人で話をした。政治、経済、将来の夢。聡明な彼との会話は刺激に満ちていた。恋人になれなくても、一番の友人として、知的な会話に興じ、同室生活を楽しむだけでよかった。そして、彼はふと、「君は、同性愛についてどう思う?」と尋ねてくる。鈴掛さんはどきりとした。Johnになら、彼になら、打ち明けてもいいのかもしれない。と。しかし結局、「…うん、僕は、偏見とかないよ。」と答えるのにとどまった。残り少ない同室生活に、波風を立てないようにするほうを選んだのだった。Johnは「そっか。」とだけ答え、彼らの留学生活、そして同室生活は終わりを迎える。しかし鈴掛さんは後日、友人経由で、Johnがゲイであることをカミングアウトしたということを聞いて驚愕したのだった。あの時、自分もだと伝えていれば…、何かが変わっていたのかどうかはわからないが、とても切ない思い出。若いときは、そんな思い出が多い。言って良いのか、言わないほうがいいのか。判断しづらい。後悔の重みも、まだよく分かっていない。確固たる自分もなく、模索中だから、安全な行動をしがちだ。歳を重ね、人生経験を重ねると、伝えてなんぼ、勇気を持って行動したほうが、しないよりも後悔しない、でも、結局は、その時それがベストだと判断したのだから、くよくよ思い悩まないほうが良い、などということが経験からわかってくる。でもそれは全てあと付けで、きっと、Johnがカミングアウトしたことを聞いた時の鈴掛さんは、なんともやりきれない思いに頭を抱えたに違いない。

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『ゲイ』という言葉は、その裏にさまざまな偏見をはらんでいて、『差別される人』というレッテルも含んでいて、とても響きが良くない、と私個人は思う。「僕はゲイです。」と言われると、「重大なことを打ち明けられた。差別される人、迫害される人です、と。自分は何をしたらいいのだろう?」と思ってしまうかもしれない。それよりも、「同性が好き。」「同性に惹かれる。」と言ったほうがよほど、そのままを表していて、個性のひとつなんだろうなと感じられやすいのではないだろうか?そんな簡単な話でもないか…?





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