4.13.2025

『20歳の自分に伝えたい知的生活のすゝめ』/齋藤孝

本当に、20歳の自分に伝えたい本。




20代と30代の記憶力が全然違うので。できるだけいろいろ覚えた方がいい。その時に触れた文章の全てが、自分の考える力、言語化する力の礎となる。

人生には運要素も大きいが、本はわりと簡単に手に入る

  • 二世議員や二世タレントなど、二代目であるだけでチャンスに恵まれやすい。
  • 努力や才能も大事だが、単に、そのチャンスをもらえるかどうか、の点も大きい。
  • つまり、運で人生は左右される、というのは齋藤さんも認めている。だからご縁とか大事なんですね…。
  • しかし現代の日本では、知性も外見も評価され、遺伝子で決まっているからどうしようもない、というような諦めの風潮がある気がする。
  • でも、読書は数百円で誰でもできるし、リターンの高い投資ではないか、とのこと。
  • 「本が読める人=本を読んで、その背景や情景を頭に思い描ける人」と「本を読め(ま)ない人=本を読んでその情報が頭に入っていかない人」の違いは、実際問題としてあると思うのだが…。小さい頃から習慣づいていなかっただけで、本来人間誰でもできる、というのがおそらく齋藤さんの考えだと思うけど、どうだろうか。

もっと知的に貪欲になろう

  • 京都の学生街では、西田幾多郎の『善の研究』が発売されると、書店に行列ができたらしい。1911年(明治44年)の話。
  • 終戦直後、本も文房具も何もなかった時代、何かを子供たちに伝えねば、文化が、教養が途切れてしまう、という大人たちの焦燥感があった。電気も通らない暗い部屋を即席の教室にして、クラシック音楽をレコードでかけて、学びを、教養の火が消えないように努力したというエピソードも紹介されていた。
  • 緒方洪庵の適塾でも、一冊しかない蘭学の本を、弟子たちがケンカして読み、書き写し、学問がなければ将来はない、と危機感を持っていた、という展示を見たことも思い出した。

待ちの時代にも、自分を磨いて好機を待つ

  • 齋藤さんは教育学の博士課程にいたが、大学院が長引き、無職の生活が33歳まで続いた。
  • でも、「日本人の頭をよくしたい」「教養の地位を上げたい」という思いは変わらず。
  • 仕事が無かった時も、「時代がまだ自分に追いついていないだけだ」「いつか、爆発的に発信ができる日が来る」と信じていたそうで、その日のための準備を怠らなかった。
  • 「溜め」、「待ち」の時代はある。
  • 時が来ればいつでも活躍できるように、小説家志望なら本を書き溜めたり、教育者なら発信内容を書き溜めたり、訓練・準備しておくことが大事。

知的生活によって、情熱的で創造的な人生に!

  • 齋藤さんは寂しさを感じたことはあまりない、なぜなら、読書することで、著者との精神的対話ができるから。これについては面白いなと思ったけれど、双方向性という意味では限界があるような気もした。生身の人間どうしがやり取りして即興的な生きた会話が生まれることと、本に書かれてある内容が、読者が何を思おうが言おうが最後のページまで決まっていることは、ちょっと違う気がする。
  • いや、もしかしたら齋藤さんの読書玄人レベルが常人とはかけ離れているのかもしれない…!
  • アニメは想像性を活かす余地がまったくない、というのは極めて同意!
  • 「売れているのには理由がある」はず。歌手でも何でも、自分が興味のない分野でも、好奇心を持って触れてみる。
  • 「私淑する」=直接教えを受けたことはないが、尊敬して、目標となる、学びを受けられるような存在を持つ。
  • ネットで得られる情報、娯楽、SNSなどだけでは、どうしても受け身になってしまう。ただ消費するのではなく、何かを創り出す側になろう!

教養をつけるモチベーションをかきたてられるような場所・機会・友人を持とう

  • 自主性に任せていては子供は読書しない。
  • 「教養がないと恥ずかしい」「ドストエフスキーを読んでいないなんて言えない」というような雰囲気がある環境でこそ、読書のモチベーションが上がる。
  • 関連して、最低限このリストにある本は読むべき、というのを学生に提示すべき。齋藤さんは、桑原武夫『日本の名著ーー近代の思想』、歴史学者・河野健二『世界の名著ーーマキアヴェリからサルトルまで』で紹介されている合計100冊ほどから始めた。
  • マルグリット・ユルスナール『ハドリアヌス帝の回想』ー古代ローマに関する膨大な知識が入ってくるし、自分がハドリアヌス帝になったような心持になる。すごい本だったそう。

知性・教養・知的好奇心は頑健な精神をも育む

  • 今の若者には勇気が足りないーーちょっとしたことでショックを受けてそれを引きずってしまう、交友関係が閉じたものになってしまう、就職活動でも恋愛でも奥手である。
  • 孔子「知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は恐れず」。知・仁・勇。知・仁はあるが、勇気がない、と齋藤さんは学生を見ても思うそうだ。
  • 仕事・恋愛・学業が上手くいかない時期があっても、知性・教養・知的好奇心を持つことで、世界には常に素晴らしい知的刺激があることが分かり、「うまくいかない、悲しい、苦しい」とぐるぐる思考に陥ることを避けられる。自分とその周りの環境・状況を客観視することもできる。
  • 知性を持つことで、ちょっとやそっとでは崩れない強い精神力を手に入れよう。
と、メンタルにまで話は及ぶ。本当に、20歳の自分に教えてあげたかった。それなりに本は読んでいたつもりだったけど。でも、何十代でも全然遅くない。やる気出た――!

覚えた新表現:
「寸鉄人を刺す」=短く鋭い言葉で人の急所を突く。
「多士済々」たしせいせい=優秀な人材が多く集まっていること。「多士済済の企業だから成長速度も速い。」  




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