4.02.2016

ドキュメンタリー72時間

密着72時間ドキュメンタリー 日韓くらべちゃいましたスペシャル。

日本でも韓国でも、ある場所を3日間連続で観察して、その地を訪れる人々の人生模様を記録する番組があるらしい。しかし両国のスタイルの違いは明白。日本では、カメラは定点固定で訪れる人を待ちインタビューする。一方韓国ではターゲットとなる場所を決めたらそこを縦横無尽に動き回り、人々を取材して回る。

今回はニューヨークのクイーンズ地区にある24時間営業のコインランドリーに密着した日本と、中国最大の中華料理店(一日に3,000ー4,000人が食事をする!)を取材した韓国の、それぞれの番組を見ることができた。

まず、ニューヨークのコインランドリー。50台の洗濯機と乾燥機が並び、人々が入れ替わり立ち替わり洗濯していく。アパートが古く密集しているニューヨークでは、建物自体に洗濯機がないところが多いのだそうだ。だから、老若男女、コインランドリーを利用する。現在クイーンズ地区は特に移民の多い場所で、人口の半分はアメリカ国外で生まれた。不法移民も多い。自国ではまともな暮らしが望めない、でもアメリカなら、仕事をすれば生活はできるから、と。仕事をしても生活ができないとはどういった状況なのか。想像しただけでも苦難だ。

職を失ってホームレスを経験し、人生をやり直すために何とか職をニューヨークで見つけて引っ越してきた家族。アルバイトを掛け持ちして子供を大学に行かせてやりたいと望む。

離婚した妻とともに遠くで暮らす娘と、夏休みの間だけ一緒に過ごす父親。娘が幸せかどうか、それだけが彼の全てで、自分の夢は?と問われると、明日どうなっているか分からないだろう、と返す。

47歳にして孫のいる女性、遠くからコインランドリーに孫たちと歩いてくる。住んでいるところはケンカや発砲がある危険な地区だが、ここなら子供たちが安全に遊べて、服もきれいになるからね、と肩を竦める。

ポーランドから最近引っ越して来た若い女性。自国には洗濯機が一家に一台あったのに、ここは大変よ、とこぼす。

それぞれ事情があってこの地区に住んでいて、週に数回洗濯をしにここへやってくる。なかでも、70歳で、何十年もこのコインランドリーを利用しているという女性の話は印象的だった。彼女が若い頃は、移民も少なく、近所はみんな知り合いだったが、近頃は英語ではない言葉を耳にすることが多くなった。9.11で親類を亡くしていることから、ムスリムの人々には今でも複雑な思いを抱いている。昔からここに住んでいれば、この地区の変わり様は目まぐるしく映るだろう。

文化も言葉も習慣も考え方も信条も全部違う、いろいろな人が、いろいろな事情で、この地区に集っている。それぞれが、挨拶以上の関わり合いになることは少ないのかもしれない。雑多な人種のサラダボウル状態に、戸惑っているのは他でもない、サラダの具の本人達のようだ。

それでも、暮らす場所はここしかないし、お金を稼いで、食べていって、家族を養って、家賃も払わなければならない。今日も洗濯した仕事着を纏って、仕事に出ていく人々。

一方、同性婚が合法化されたことで、「夫が働きに出ているから、今日は僕が洗濯なんだ」と微笑む男性も。この自由が、この地にこんなにも多くの人を引きつけている引力のおそらく主要な部分であろう。長年の活動が実を結んでやっと掴んだ自由を、噛みしめている人もいる。

ニューヨーク。あまりの多様性に圧倒されそうな街。でもそこには、日々の暮らしを何とか繋いで行っている人々でいっぱいで、それは世界の他の都市と同じである。

アメリカには、確かにしがらみもなければ因習も古い特権階級もなく、実力が物を言う世界で、一方、社会補償制度も健康保険も何もない。努力もせずに能力もなく甘い汁を吸う輩は少ないが、その一方で病気、貧困、低学歴、などの悪循環から抜け出せない。そのような社会構造の問題点も朧げに見えてくる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

中国の南部にある、世界一大きな中華料理店では、100名を越えるスタッフが働く。5,000人を収容可能な7つの建物に、4つの厨房、それぞれで働く従業員達の暮らしや家族事情などもインタビューされていた。

子供を実家の両親に預け、夫も妻もそれぞれの職場の寮で暮らして貯金している夫婦。家族が揃うのは旧正月の年一度だけだ。彼らもまた、親が出稼ぎに行っていたため、そのような幼少時代を送った。

中学校を卒業して働き始め、両親と弟、妹を助けるために毎月仕送りをしている16歳の女の子。まだ小さい弟や妹には、自分がお金を貯めて、是非大学に行ってほしいと望んでいる。大学に遊びに行っているような、一部の日本の大学生に、言い聞かせてやりたい。「貧しい家庭の子供は、早く大人になる。どこの国でも一緒のようだ。」とナレーション。

歌手を夢見て、レストランで働きお金を貯めることを目標にしている青年。まだ9日目だが、夢を抱いて、前を向いている。レストランの仕事の内容を歌にしたりしていた。

16歳で料理人見習いとなり、一人前の料理人になっていつか店を開くという青年も。10年後にはその夢を実現させているでしょう、と希望に満ちている。10年後は26歳。見習いからのスタートで、謙虚で、本当に頭が下がる
思い。韓国人の撮影スタッフに、「また合いましょう」とインターネットで調べたハングルで書いて渡していた心優しい人。

ここでもニューヨークと同じく、いろいろな事情を持った人が、いろいろな思いで、世界一大きな中華料理店で働いている。本当に様々な人生があって、それぞれ目標を持って頑張っている。

今は非常に恵まれているなと改めて思った。私も頑張ろう。

No comments:

Post a Comment