8.22.2012

デトロイトで考えたこと…所得と食

一週間、はるばるミシガンを訪ねて旅行してきました!
ミシガン州はアメリカ五大湖の近く。カナダとの国境付近。デトロイトの車会社は世界的に有名だけど、長引く不況で経済はなかなか厳しいよう。

今回は、シアトルとは違う、いろんなアメリカを見ることができた。

車で道を走っていたら、ガソリンタンクのふたが半開きのままフリーウェイ(70mile/h=112km/h)を走行している車が。閉め忘れたのではなく、貧乏でオイルタンクを直すお金もない人たちがいるんだそう。廃墟となったかつての工場や会社、ホテルなどもけっこうたくさんあり、デトロイトの不況を物語っていた。もちろん、栄えているところも多くあるし、自動車産業もどん底からは立ち直っている模様。

歩いていてやはり目に付くのは、太りすぎの人…。なぜそこまでになるほど食べるのか?放置するのか?と気になってしょうがない。
大統領選が近いから、さかんに選挙活動が行われている。オバマ大統領が導入した、有名なObama care。それで、太りすぎの人が多いから、国民皆健康診断制度をつくってしまえばどうか、と考えてみた。しかし、それは機能しないだろうと言われてしまった。

というのも、肥満は食事と文化の影響が強くあるから。野菜のほとんどない、炭水化物と肉中心の油っぽい食事と、個人主義を重んじる文化。その二つが、「食生活が悪い、肥満って言ったってそれが何?」となってしまう。だから、政府のすすめる健康診断・専門家による食事指導など、はなから拒絶されてしまうのだ。日本みたいに、お医者さんが言うから、とか、義務付けられているから、などといった理由では、アメリカ人は行動を起こさないのだ。自由、個人を重んじる考え方がこうも強いと、政府にだって干渉されたくないし、太っていたって恥ずかしくない、らしい。

ここで自由の功罪が浮かび上がる。
確かにアメリカはイギリスからの自由を求めた人たちのつくった国だった。
だから、幸福追求の自由から銃を携帯する自由まで、個人の自由がもっとも価値の高いものとされている。何に気を遣うこともなく、とらわれの身より、よっぽどすがすがしい気がするのも事実である。しかしながら、自分を強くコントロールする力が求められるが、それは簡単なことではない。それに、失敗したって、社会からのサポートは一切ない。自由と自己責任は表裏一体だからである。弱者、低所得者の置かれている境遇はその人のせいとされ、国も、社会も、何もしてくれない。会ったのは中間所得層の人がほとんどだったけれど、貧富の差の激しさは観光客にだって分かる。ましてアメリカ人ならなおさらだろう。いつ自分が低所得層になるか、本当に分からないというのが実情のようである。

肥満の原因は食事、と書いたが、ジャンクフードは本当にあふれかえっている。どこに行っても、ハンバーガー、フレンチフライ、その他揚げ物は安く、そして、量が半端ではない。
仕事が忙しくて、子育てもあって、安くて手軽なハンバーガーで食事を済ませてしまう低所得層がいるのもうなずける。これは食文化の問題というか、社会構造的な問題のように思う。低所得層は往々にして、栄養学などの知識も教育もなく、自分の食べるものが良いのかどうなのか判断するすべもない。大統領夫人のミシェルさんは、子供の肥満防止の活動をしているようだ。畑で育てた野菜を料理して食べさせたり。そんな食育活動が肥満軽減に役立てばいいな。小さなころからの教育って大事だ。私は幼いころから、祖母に「野菜は肉の二倍食べて、色の濃いものが良い」といわれて育ってきたため、野菜を食べないともはや落ち着かない。笑。

オーガニックの関心も高いが、値段が張るので中級クラスでないと買えない現実もあるようだ。

続く。


No comments:

Post a Comment