3.13.2010

「風に舞い上がるビニールシート」/森絵都

東京の国連日本支部で働くリカと、その恋人エドの物語である。フィールド隊員であるエドは、紛争地域や災害地域に赴いて字際に援助活動を行っているため、日本に戻るのは毎年数週間である。フィールド活動には危険も伴うため不安であるし、エドと一緒にいる時間がもっとほしいとリカは望み、しばらくの東京勤務をエドに勧めるが、エドは断ってしまう。助けを必要としている人がいるのに、自分だけ平和な日本に安住することはできないと考えるからだ。エドの志は高潔で、このような人がいなければ世界はもっと悲惨なことになるだろう。しかし、リカの気持ちもよく理解できる。恋人と一緒にいたい、危険な地域に行かないでほしいと望むのは当然である。本当に仕事を使命として全うしようとすると、ほかのものをすべて犠牲にしてしまう。しかし、大切な人にさびしい思いをさせたくない、しかし、援助を必要としている人たちがいる……何度も何度も、しかし、しかし、と考える。世界の切迫した状況と、それに立ち向かう人の人生と幸せについて、深く考えさせられた。

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感想文、2。

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