2.17.2024

ある出版社からの出版【依頼】が来た話

別のブログにこんなメッセージが来た。要約するとこんな感じ。

「出版社XXXXの編集部XXと申します。今回、「自分らしく生きる〜豊かな人生を送るヒント〜」をテーマとした内容の共同出版を計画しています。Lillyさまのブログを拝見し、興味を持ちました。弊社では、出版後のサポートを重視し、著者との協力関係を築きたいと考えています。審査があるため確実な出版を保証できませんが、まずは軽いインタビューを希望しています。ご興味がありましたら、テレビ電話もしくはお電話で30分~45分のインタビューを行い、後日具体的なイメージを共有したいと思います。金額の一部負担や審査もあることをご了承ください。」

ほおお、金額の一部負担とは如何なるものか、と思い。まあお話だけ聞いてみることにしました。説明された内容は、

  • 形態は自費出版(数百万円)と商業出版(著者には印税が入るが、内容は出版社の意向が多分に入る)の間。
  • つまり、共同出版。自費出版よりも安価で、かつ、出版社のテーマはあるが、書く内容は著者の自由。
  • 「金額の一部負担」は、50−60万円。(!)
  • 本の単価は1500円くらい。印税は10%が著者に支払われる。
  • アマゾンで、電子版もしくはオンデマンド印刷(注文があってから印刷、発送する)。
  • 本屋には流通しない。
  • だから大量在庫があって返品分を著者が買い取らなければならない、なんていうことにはならない。
  • しかし、だから、多分そんなに数は売れない。稼ごうというよりは、自分のビジネスを広げる足しになれば、とか、自分の名刺代わりになるという機能のほうが大きい。
  • 著者どうしの交流会がある。
  • このXXXX社は本を関係各所に寄付したりしている。

などなど……。

ピンときました。これは、私がお客さんという形のビジネスですね。

出版社は元手ほとんどナシで、著者さんに書いてもらい、お金まで出してもらえる。出版社がやることといえば、本が書けるまでに定期的に「打ち合わせ」なるものをしてスケジュール管理とモチベ維持をして、原稿が出来たら誤字脱字チェックをして、アマゾンにアップロードするだけ! 著者さんへのサービスはあるが、出版した本のマーケティング策については薄い感じ。本を売り込んではくれないようだ。それはそうか。著者から既に巨額の出版料をもらっているのだから、売る積極的な理由はないだろう。

著者はといえば、本一冊分の原稿を書いて、そして、出版料50万円を払う。50万円の元を取るためには、印税10%で単価1500円の本を売ると、3000冊売れなければならない。出版業界、普通の著者でも、何千冊も売れることは珍しい。1万冊行けば、昔で言う「ミリオンセラー」である、という情報は、ちょっとググれば出てくる。執筆にかかった時間を時給にして、その分を取り戻そうと思ったら気が遠くなる。

生産コストを生産者にほぼ丸投げ、自社はマネジメントだけして、「本を出した」という実績を著者に買ってもらう感じ。なんというか、こんなビジネスモデル、よく思いつきましたねえ!という感想…。だけど、よく考えると、科学論文の雑誌もこれと同様である!私達研究者が論文を書き、それを掲載料を払って出版してもらう。そう考えるとそんなに不思議でもないのか…?(って私は自分でその掲載料を払ったことはないが) しかし。50万は高い。その一言に尽きる。

確かに、自分の思想を広げたい!とか、自分の考えを一冊にまとめたい、そして、それをコーディネートしてくれる人がいたら嬉しい!という人には嬉しいサービスだと思う。本を書いた、という実績も残るし、出版社の言う通り名刺代わり、そして文章力の証明にはなるだろう。

まあ、私は……論文たくさん出してるし、いっか。という感じ。あと、

  1. 本にすると、そこで完結してしまうから、時代に合わせて更新とかできなくなる。
  2. ブログでさえ、長いのは読まれないのに、この活字離れの世で、見ず知らずの人がどれくらい読んでくれるか。
  3. 平均執筆期間の7ヶ月に仕事をしたら稼げるお金…と計算したら、そっちを稼ぎたいと思った。

聞いておけばよかったこと

  1. ブログを見て、興味を持ちました。と言ってたけど、どの記事が?どんなふうに? と聞けばよかったな。でも、それでしどろもどろの答えが返ってきて、「あー、読んでないな。がっかり。」となるのがイヤだったというのもある。教授とかに話を聞くときも、「これ読んだ?」と聞かれて、いや、読んでないですとは言えないしな。
  2. どれくらいマーケティングしてくれるのか。(これは経験者曰く殆ど無いそうだ…)
  3. なぜ、こちらが執筆して、向こうは誤字脱字チェックするだけなのに、50万もかかるのか。
  4. 費用を安くする方法はないのか。執筆一ヶ月で仕上げるとか。

おこがましいですが、やはり、執筆を【依頼】するなら、原稿料をくださるのが普通じゃないでしょうかねえ……? このメールの件名は、【依頼】になっているけど、【営業】と読み替えたほうが良さそうだ。お金を遣うのは簡単だけど、稼ぐのはとても大変。

しかも最近、アマゾンのオンデマンド印刷なら数万円でできてしまうらしいというのも読んだ。ブログ記事のいくつかを本気で本にしようと思ったら、ちょっと頑張ったらできそうだ。というのもある。まあ、優先順位は低くなるんだろうけど…。

そう考えると、書かれない、口伝でしか伝えられないノウハウとか、格言とか、アドバイスとか、あるんだろうなーー。やっぱり、一番の宝は人脈だな。という、そういう結論になった!!笑!! 


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